少数精鋭で新たな境地へ
—部員一人の逆境を乗り越えて
スケート部スピード部門
2025/05/26
アスリート&スポーツ
OVERVIEW
長らく部員のいない状態が続き、存続が危ぶまれていたスケート部スピード部門※。現在、少ない部員数にもかかわらず各人がスケートに対する熱意を燃やし、華々しい戦績を残している。向上心を胸に、努力を絶やさない新鋭たちは、立教大学スピードスケートの歴史を塗り替え続けている。
※ スケート部は、フィギュア部門とスピード部門で構成されている。
逆境を乗り越えて

24年1月のインカレで女子3000mに出場した野明花菜。この種目で優勝を果たした
2023年春、当時部員のいなかったスケート部スピード部門への入部を決めたのは、日本スケート連盟強化選手にも選ばれている野明花菜(ス3)。両親が選手として活躍する姿を見てきた野明にとって、幼い頃からスケートは身近な存在だった。「もっとスポーツのことを学びたい」。競技に対する飽くなき探究心は野明をスポーツウエルネス学部へと導いた。生まれ育った長野県で仲間にも練習環境にも恵まれていた生活から一転し、大学では慣れない土地で一人黙々とトレーニングを行う日々。初めは生活環境の変化に戸惑いを覚えることが多く、練習面での苦労も絶えなかった。
春学期には氷上でのスピードを鍛えるべく、陸地での身体強化に取り組む。大学生活にも慣れてきた8月頃、氷上での練習が始まった。地元長野での高校生との合宿や実業団との練習に参加し、ひたすら自分の滑りに磨きをかけ続ける。そんな野明の目は、最高峰の大会である「世界ジュニア」を見据えていた。練習に励む中、野明の高校時代の後輩である倉坪佑衣(ス2)から立教に進学するという連絡が舞い込む。同じく短距離の選手である二人はレースを共に行うことが多く、中学時代から面識があった。同じ高校に通うようになると学年を超えて信頼し合う仲間へと関係を深めた。顔なじみの入部は野明の心を奮い立たせる。24年2月、目標としていた2024 ISU世界ジュニアスピードスケート選手権大会で3000m2位という輝かしい成績を収め、逆境にも屈しない実力者の威厳を示した。
春学期には氷上でのスピードを鍛えるべく、陸地での身体強化に取り組む。大学生活にも慣れてきた8月頃、氷上での練習が始まった。地元長野での高校生との合宿や実業団との練習に参加し、ひたすら自分の滑りに磨きをかけ続ける。そんな野明の目は、最高峰の大会である「世界ジュニア」を見据えていた。練習に励む中、野明の高校時代の後輩である倉坪佑衣(ス2)から立教に進学するという連絡が舞い込む。同じく短距離の選手である二人はレースを共に行うことが多く、中学時代から面識があった。同じ高校に通うようになると学年を超えて信頼し合う仲間へと関係を深めた。顔なじみの入部は野明の心を奮い立たせる。24年2月、目標としていた2024 ISU世界ジュニアスピードスケート選手権大会で3000m2位という輝かしい成績を収め、逆境にも屈しない実力者の威厳を示した。

世界大学スピードスケート選手権大会2024(24年2月、ノルウェー)に出場。/表彰台の中央に立つ野明

世界大学スピードスケート選手権大会2024(24年2月、ノルウェー)に出場。/日本代表の仲間と笑顔で写真撮影(左)
たゆまぬ努力
24年4月、新入部員を迎え、新体制での活動が始まった。野明が先輩として意識したのは相手の意思を尊重すること。独りよがりにならないようにメニューの希望や改善点をすり合わせ、案を出し合うことで練習を組み立てるよう心掛けた。
1年次の経験から、人数の少ない部活の辛さが身に染みていた野明。後輩が心細くならないよう、自分が出場しない大会にも可能な限り応援に駆け付けた。倉坪にとって初めてのインカレ(第97回日本学生氷上競技選手権大会スピードスケート競技)では、中高とは違う大会の雰囲気に圧倒される。観客席から届くいつも通りの野明の声援に心を落ち着かせ、大舞台に臨んだ。結果は500m11位、1000m12位。「今度こそ絶対に結果を残したい」。目標の入賞には及ばなかったものの、倉坪は次戦への闘志を燃やし始めていた。
「自分にとって野明選手は目標であり、憧れの選手」。仲の良い友人であり、部活の先輩後輩でもある二人は、常に互いをリスペクトする気持ちを絶やさない。アスリートとして尊重し合い、高め合う向上心は、とどまるところを知らない。
1年次の経験から、人数の少ない部活の辛さが身に染みていた野明。後輩が心細くならないよう、自分が出場しない大会にも可能な限り応援に駆け付けた。倉坪にとって初めてのインカレ(第97回日本学生氷上競技選手権大会スピードスケート競技)では、中高とは違う大会の雰囲気に圧倒される。観客席から届くいつも通りの野明の声援に心を落ち着かせ、大舞台に臨んだ。結果は500m11位、1000m12位。「今度こそ絶対に結果を残したい」。目標の入賞には及ばなかったものの、倉坪は次戦への闘志を燃やし始めていた。
「自分にとって野明選手は目標であり、憧れの選手」。仲の良い友人であり、部活の先輩後輩でもある二人は、常に互いをリスペクトする気持ちを絶やさない。アスリートとして尊重し合い、高め合う向上心は、とどまるところを知らない。

日本代表として滑走する野明
「立教スポーツ」編集部から
立教大学体育会の「いま」を特集するこのコーナーでは、普段「立教スポーツ」紙面ではあまり取り上げる機会のない各部の裏側や、選手個人に対するインタビューなどを記者が紹介していきます。「立教スポーツ」編集部のWebサイトでは、各部の戦評や選手?チームへの取材記事など、さまざまな情報を掲載しています。ぜひご覧ください。
writing/「立教スポーツ」編集部
経済学部経済政策学科3年次 逸見若菜
writing/「立教スポーツ」編集部
経済学部経済政策学科3年次 逸見若菜
※本記事は季刊「立教」272号(2025年4月発行)をもとに再構成したものです。バックナンバーの購入や定期購読のお申し込みはこちら
※記事の内容は取材時点のものであり、最新の情報とは異なる場合があります。
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